言葉の芥場

思ってることを、思っているままに。日ごろ、堆積したことばを吐き出す場所。

ヒトが向かう先

ホモサピエンスは神のような力を手に入れて別の何か―ホモデウス―になるのかもしれない。あるいは、、、

サピエンス全史の著者であるユヴァル・ノア・ハラリ氏の著書、ホモデウスを読みました。我々人類、ホモサピエンスがこれからどこに向かうのか、未来を考察した内容はひたすら衝撃的です。

この本に書かれていることは歴史学社会学、心理学、生物学、芸術、さらに哲学など様々なジャンルをまとめ、一つの大きな流れにしたものといえます。サピエンス全史を読んだ時にも思いましたが、ハラリさんは多分野の膨大な研究やデータをうまく混ぜつつ、説得力のある一つの物語を紡ぐ技術にとても長けている気がします。未来を予測するうえで一番難しいことはおそらく、現在あるシステムや常識が続くものだと仮定したり、それらが当たり前になりすぎて疑う事すらしないところにあると思います。そうすると見える未来がとても狭いものになってしまう。この本は狭すぎる未来の見方を少し広げてくれるようなものだと感じました。

数日前に読んだFactfulnessと合わせて考えるととても面白いです。Factfulnessはおそらく今後10数年程度の指標となりえるのに対し、この本はどちらかといえば今後50年とか100年規模の世界を見据えたものであるように思えます。この本の内容がすぐに実現するのをイメージするのは難しすぎるし、著者もこういった変化が一朝一夕で起こることは無いと書いています。それでも、100年前やそれよりも前の中世の世界は今の世界と大きく乖離しています。だからこういった変化は徐々に起きるものだし、変化の真っ只中にいる人は全体像がつかみにくいのかもしれません。

時代の変わり目の世代だとよく言われます。認識革命、農業革命、産業革命に続く新たな革命が目の前に迫っていて、僕ら世代は時代のターニングポイントに生きているのかもしれません。ただこの変わり目は今までの歴史上で類を見ない変わり方の可能性が高い。ホモサピエンスがホモデウスへと変貌を遂げる、その境目にいるのかもしれない。今まで常識だった人類至上主義が崩れる世の中になり、ホモサピエンスが享受していた特権がもはや通用しなくなることも十分にあり得ます。この本を読み進めるにつれてどんどん未来が怖くなっていく気もするけれど、この本に書かれていることが正解だとは限らないし、今感じている恐怖のベースになっている考え方がもはや時代遅れとなる日が来るのかもしれない。そんなことを思いながらも、そんな未来が来る前に取り返しのつかない問題が起こらないように、まずは目先の10数年を見据えて生きようと思いました。